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郡上東氏三代。東左衛門尉時常の嫡子。通称、官途ともに不明。行氏、時常、貞常と続く郡上東氏の惣領家であり、北条貞時より「貞」字の偏諱を受けた御内人であったのだろう。
東氏の系譜には一切見えない人物だが、東氏の末裔である建仁寺住持・正宗龍統が書き記した『故左金吾兼野州太守平公墳記』に「貞常の父は時常、時常は行氏の長嫡、行氏は氏村の兄なり」とある。
●『故左金吾兼野州太守平公墳記』『円覚寺蔵大般若経刊記』を基本とした系譜
+―行氏―――時常―――貞常―――素====益之
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東胤行―+―氏村―――常顕―+―師氏―+―泰村
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+―常長 +―江西派公
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+―益之――――正宗龍統
また、『故左金吾兼野州太守平公墳記』によれば、貞常の子・素(諱不明)には子がおらず、一族の益之を養子にしたという。素は益之を大変かわいがり、幼少時代から少々型はずれであった益之に「以心副心」と諭したという。益之はこのことを生涯心に刻んでいた。なお、『故左金吾兼野州太守平公墳記』の著者・正宗龍統はこの益之の子である。